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『2046』を観た日

台風の後は地震です。
自然の驚異に抗えない日本列島。
一日も早い復旧を祈る。

さて。
バイトのシフトが変わり突然今日一日のお休みを手に入れた。

遠足前日の子供よろしく
どうして過ごそうかとワクワクした。
家でゆっくり過ごすのも一案だったが、
予報では「雨は降らない」と言っていたので出掛けたいと思った。

バイトに出る日よりも早起きしてとりあえず家を出た。

行ったことのない場所へ行きたかったが、
私はゴールド・ペーパー・ドライバーで車を持っていないし、
移動はもっぱら電車とママチャリである。

さほど遠出が出来るわけでもないので、
駅に置いてあったパンフを見て、
いつも電車から見える山の方面へ。

このぶらり旅はまた後日。

散歩もしたかったが映画館のシートに沈む絶好のチャンスでもあったので、
さんざん歩いた後、過日も書いた『2046』を観てきた。




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ネタバレ、といってもウォン・カーワァイ監督の映画のあらすじを、
書こうとすること事態無粋なこと。

しかし、あの特報とキャッチからしてもっとSFチックなのかと思い込んでいたが、
あの宣伝は間違ってやしないだろうか。
いつものウォン・カーワァイ節は健在。
だって主役はやっぱりトニーなのだから。

『花様年華』に思い入れのある方、
(なんと私はこれをことごとくタイミングが合わず見逃している…)
だけでなく『欲望の翼』『ブエノスアイレス』が好きだ、という方、
必見です。

全編にわたりトニー・レオンから目は離せない。
もうくらくらした。
変に鍛え過ぎていない年齢相応の肉体さえも、
本編の魅力を増す力のひとつのような気がした。

そしてMy favorite 歌姫フェイ・ウォンのなんと美しいこと。
あれでママですよ、ママ。
カリーナ・ラウのあの存在感も、チャン・ツィーイーの切なさも、
好きな人にはやはりたまらない世界観の中にあった。

マギー・チャンとチャン・チェンについては…
もう贅沢極まりない使い方である。
びっくらこくほどに。

コン・リーも重要なポイントにいるのだが、
ごめんなさい、個人的に好きな女優さんには入らないので…。

それから、例の木村くんだが、
個人的には、キムタクファンではないが木村くんの芝居のあの間合いが好き、
な私には、
酷評されるほどひどくないし、
この起用が間違っていたとは思わない。
むしろ全編にわたっての多国籍感に一役買っていただろうと思う。

ただし、木村くん目当てで、かつ、この監督の映画を観たことのない方、
多分「わかんない…」とつぶやくことだろう。
はっきり言って木村くんは決して主役ではないのだ。
大半の観客が終了後首をかしげていた様子だった。

しかし、かなり大きなキャパの劇場だったのだが、
日曜の夜だからなのか、公開2日目にしては客席はガラガラ。
木村くん出演のみを売り物にした鳴り物入りの宣伝が
仇にならなければいいのだが。

大画面で好きな監督の映画を観られるのは嬉しいが、
正直、クチコミでいけば、
これほどのキャパと劇場数はいらないだろうなあ、
というのが率直な感想。

まあ、せっかく観るなら「わかる」「わからない」じゃなく、
映画そのものを楽しんでいただきたいものだと思うが。

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この映画は監督のインタビューにもあるように、
60年代を舞台にした3部作であるとともに、
失われたものへのオマージュでもあるのだろう。

私は映画のエンドロール終了まで席を立たない派なのだが、
大好きな香港映画のスターたちがくれた至福の時間をなぞりつつ、
そこに彼の名前がないことが急に悲しくなった。
客電がつくまでの間に頬をぬぐわなければ。

映画館を出てからふたたび、彼の不在を思って泣けてしかたなかった。
暗がりでよかった。

レスリー・チャン。
ウォン・カーワァイ監督がこれからも撮るであろう映画に、
もう彼は現れてくれない。

でもここに一本の映画がある。

私は出会えてよかった一本だと思った。
by maylee127 | 2004-10-25 01:42 | movie&おうちmovie&drama
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